【投資の黒歴史】なぜイギリスは「株式会社」を禁止したのか?天才ニュートンすら破産させた「南海泡沫事件」の教訓

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【歴史・教養】投資の失敗学

Last Updated on 2026年1月7日 by けん実おじさん

国家が「株式会社」を禁止した日

「株式会社」を作ることが法律で禁止された時代があったなんて、信じられますか?

現代において、株式投資は資産形成の王道です。

しかし、今から約300年前のイギリスでは、あまりにも多くの人々が株で破滅したため、政府は「株式会社そのものを禁止する」という、今では考えられない荒業に出ました。

そのきっかけとなったのが、人類史上最大級の金融スキャンダル「南海泡沫事件(South Sea Bubble)」です。

被害者は一般庶民だけでなく、当時の首相、王族、そしてあの

万有引力の法則を発見した天才科学者、アイザック・ニュートンまでもが含まれていました。

「天才なら、バブルなんて見抜けたんじゃないの?」

そう思うかもしれません。

しかし、現実は残酷でした。

この記事では、なぜ天才ですら投資で全財産を失ったのか、そしてなぜ国は「株式会社」を禁止せざるを得なかったのか。

その狂乱の歴史から、私たちが今学ぶべき「投資の教訓」を紐解きます。


ニュートンが吐き捨てた「名言」と「絶望」

まず、最も衝撃的なエピソードからお話ししましょう。

1720年、ロンドン。

株式市場は異常な熱狂に包まれていました。

その中心にあったのが「南海会社(South Sea Company)」です。

「南米との貿易で莫大な利益が出るぞ!」 そんな触れ込みで売り出されたこの会社の株価は、わずか半年で約10倍(100ポンド→1000ポンド)にまで暴騰しました。

天才物理学者アイザック・ニュートンも、当初はこの株に投資していました。

彼は株価が上昇したタイミングで一度売却し、約7,000ポンド(現在の価値で数億円)という莫大な利益を確定させました。

ここまでは、さすが天才です。

しかし、悲劇はここから始まります。

彼が売った後も、株価は異常なスピードで上がり続けました。

街中では、昨日まで貧乏だった友人が、株で大儲けして馬車を乗り回している。

「あの時売らなければ、もっと儲かっていたのに……」

嫉妬と後悔に狂わされたニュートンは、なんと株価がピークに近い最高値の時期に、全財産を突っ込んで買い戻してしまったのです。

その直後、バブルは崩壊しました。

株価は暴落し、紙切れ同然に。

ニュートンは2万ポンド(現在の価値で約40億円とも言われる)もの資産を一瞬にして失いました。

失意の底で、彼はこう吐き捨てたと伝えられています。

「天体の動きは計算できても、人々の狂気までは計算できなかった」

この言葉は、私たちに一つの真実を突きつけます。

IQが高くても、物理学の天才でも、相場の熱狂と自分の欲望をコントロールできなければ、投資では負けるのです。


南海泡沫事件の正体:国家ぐるみの「ポンジ・スキーム」

では、そもそも「南海会社」とは何だったのでしょうか?

実はこの会社、まともなビジネスなんてほとんどしていませんでした。

表向きは「スペイン領の南米と奴隷貿易をして儲ける」と言っていましたが、当時のスペインとイギリスは仲が悪く、貿易なんてできる状態ではなかったのです。

では、なぜ株価が10倍になったのか?

それは、経営陣と政府が結託した「錬金術」のせいでした。

1. 「借金」を「株」に変える魔法

当時、イギリス政府は戦争で莫大な借金(国債)を抱えていました。

そこで南海会社は政府に提案します。

「国の借金を、我が社の『株』と交換させましょう」

投資家たちは、持っていた国債(利息が低い)を、値上がりが期待できる「南海株」と交換しました。

政府は借金が消えてハッピー。

会社は手数料が入ってハッピー。

投資家は株が儲かってハッピー。

一見、全員が得をする魔法のように見えました。

2. 株価を釣り上げる「自作自演」

しかし、この魔法を維持するには、株価が上がり続けなければなりません。

そこで経営陣は禁じ手を使います。

  • デマの流布: 「南米ですごい金鉱が見つかった」などの嘘を流す。
  • 賄賂: 政治家や王室の愛人にタダで株を配り、国のバックアップがあるように見せる。
  • 自社株融資: 「株を買うお金がない? じゃあ会社がお金を貸してあげるから、その金でウチの株を買え」という、無茶苦茶な貸付を行う。

こうして作られたのは、実体のない「泡(バブル)」でした。


崩壊、そして「株式会社」の禁止へ

1720年の夏、株価は1000ポンドの最高値をつけます。

しかし、内部の事情を知っている経営陣や、賢い投資家たちはこっそりと売り抜けていました。

そして、皮肉にも崩壊の引き金は、南海会社自身が引くことになります。

当時、南海会社の成功を見て、怪しい「便乗企業(泡沫会社)」が次々と乱立していました。

「永久機関を作る会社」 「何をやるかは秘密だが、とにかく儲かる会社」 そんな詐欺まがいの会社の株まで買われていたのです。

南海会社は、自分の客を奪われないように、政府に働きかけて「泡沫法(Bubble Act)」という法律を作らせました。

これは「許可のない会社を作ることを禁止する」という法律です。

これが致命的なブーメランになりました。

この法律のせいで株式市場全体が冷え込み、投資家たちがパニックに陥ったのです。

「やばい、現金化しろ!」

売りが売りを呼び、南海株も大暴落。

数多の人々が破産し、自殺者が続出。

イギリス経済は壊滅的な打撃を受けました。

事態を重く見たイギリス政府は、その後約100年間にわたり、株式会社の設立を厳しく制限(事実上の禁止)しました。

「株式会社なんて仕組みがあるから、人々が騙されるんだ」と考えたのです。


300年後の私たちへの教訓

「昔の人は愚かだったんだな」と笑えるでしょうか?

  • 中身のない仮想通貨(暗号資産)の急騰。
  • SNSで煽られる「FIRE」や「億り人」への憧れ。
  • よく分からないまま飛びつく「S&P500一本足打法」の過信。

形は変われど、私たちも同じことを繰り返しています。

南海泡沫事件が教えてくれる教訓は、極めてシンプルです。

1. 「国が認めた」を信用するな

南海会社は、国策企業であり、王様まで株主でした。

それでも破綻しました。

「国が推奨しているから(NISAだから)」「みんなやってるから」は、安全の根拠にはなりません。

2. 天才でも「雰囲気」で投資すると死ぬ

ニュートンの失敗は、彼が「自分の頭で考えず、周りの熱狂に流された」ことにつきます。

投資に必要なのは、IQの高さではなく、「自分の感情をコントロールする力」と「正しい金融知識」です。

3. 規制はあなたを守ってくれない

イギリス政府は「株式会社禁止」という最強の規制を行いましたが、それでも損をした人は戻ってきませんでした。

結局、自分の資産を守れるのは、自分自身の「知識」だけなのです。


「歴史」は繰り返す。あなたには「武器」があるか?

バブルは必ずまた来ます。

そして、必ず弾けます。

その時、あなたはニュートンのように「人々の狂気」に飲み込まれて資産を失うのか。

それとも、歴史の教訓を活かして、冷静に資産を守り抜くのか。

その分かれ道は、「正しい投資の知識」を持っているかどうか、ただ一点です。

丸腰で戦場に向かうのは、もう終わりにしませんか?

まずは、プロから「負けない投資の鉄則」を学ぶことから始めてください。

300年前のイギリス人にはなかったその「武器」が、現代のあなたには手に入るのですから。

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