【総務部監査報告】高配当株は「不労所得」か「不良債権」か?利回りだけで飛びつく初心者が陥る「3つの罠」と論理的回避術

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【実践・戦略】資産運用メソッド

Last Updated on 2026年1月7日 by けん実おじさん

「株を持っているだけで、定期的にお金が入ってくる」

高配当株投資は、まさに夢の不労所得に見えます。

しかし、その甘い蜜には猛毒が混ざっていることをご存じでしょうか?

こんにちは。「おじさんの堅実な資産形成ノート」運営者、総務一筋15年のけん実おじさんです。

私は仕事柄、企業の財務諸表をチェックしますが、高配当株の中には「経営が傾いているのに、見栄を張って配当を出している(=倒産予備軍)」企業が紛れ込んでいます。

これに引っかかると、配当をもらうどころか、株価暴落で資産の大半を失います。

この記事では、きれいごとは一切抜きにして、高配当株投資に潜む「3つの構造的な落とし穴(罠)」と、それを論理的に回避する「総務流・選定基準」を、監査報告書として提出します。


第1章:【構造監査】なぜ「高利回り」は危険信号なのか?

まず、基本のキから監査します。

「利回りが高い=お得」だと思っていませんか?

それは大きな間違いです。

利回りの計算式が生む「パラドックス」

配当利回りは以下の式で決まります。

配当利回り(%) = 1株あたりの配当金 ÷ 株価

この式を見れば、利回りが上がる理由は2つあることが分かります。

  1. 良い理由: 企業が儲かって、配当金を増やした(増配)。
  2. 悪い理由: 企業の人気がなくなり、株価が暴落した(分母の減少)。

市場にある「利回り5%超え」の銘柄の多くは、実は後者です。

これを「イールド・トラップ(利回りの罠)」と呼びます。

株価が下がっているのには理由があります。

業績悪化、不祥事、将来性の欠如…。

市場が「危険だ」と判断して売り浴びせた結果、見た目の利回りだけが高くなっているのです。


第2章:【リスク監査】配当金は「約束」ではない

次に、配当金の性質について監査します。

銀行預金の利息とは違い、配当金は企業の一存でいつでもゼロにできます。

減配という名の「往復ビンタ」

過去に、日産自動車などの有名企業でも、業績悪化による大幅な「減配(配当カット)」が行われました。

減配が発表されるとどうなるか?

「配当目当て」で保有していた投資家が一斉に売るため、株価も大暴落します。

  1. 配当金が減る(インカムゲインの喪失)
  2. 株価が下がる(キャピタルロスの発生)

このダブルパンチ(往復ビンタ)を食らうと、資産回復には何年もかかります。

高配当株投資において、「減配リスク」こそが最大にして最悪のリスクなのです。


第3章:【財務監査】「タコ足配当」を見抜く3つの指標

では、どうやって危険な銘柄を見分けるか。

ここからは実務です。

企業の決算書(財務諸表)を使って、論理的に監査します。

1. 配当性向「80%超」は即却下

配当性向とは、「利益の何%を配当に回しているか」です。

これが80%を超えている企業は、利益のほとんどを吐き出しており、貯金(内部留保)ができていません。

ほんの少し業績が落ちれば、即座に減配に追い込まれます。

「配当性向は30〜50%程度」が健全なラインです。

2. フリーキャッシュフロー(FCF)の確認

「利益(PL)」は会計操作で作れますが、「現金(CF)」は嘘をつきません。

営業キャッシュフローから設備投資などを引いた「フリーキャッシュフロー」が赤字なのに配当を出している企業。

これは、借金をして配当を払っている「タコ足配当(自分の足を食べている)」状態です。

持続不可能です。

3. 自己資本比率と有利子負債

借金まみれの企業は、金利が上がると利払い負担が増え、配当どころではなくなります。

自己資本比率が業界平均より著しく低い企業は、減配リスクが高いと判断し、投資対象から外します。


第4章:【市場監査】配当落ちの「見えないコスト」

最後に、株価の動きに関する注意点です。

「配当落ち」で株価は下がる

配当金の権利確定日の翌日(配当落ち日)には、理論上、配当金の分だけ株価が下がります。

企業から現金が流出するわけですから、当然です。

さらに、配当金には約20%の税金がかかります。

  • もらえるお金: 配当金 - 税金20%
  • 減る資産価値: 株価下落(配当金分)

短期的に見れば、「配当をもらうと資産は減る(税金分)」という事実は、論理的に理解しておく必要があります。


第5章:【最終結論】総務が承認する「正しい高配当株」の選び方

以上の監査結果から、私が承認できる高配当株の条件を提示します。

【総務部・高配当株選定基準】

  1. 配当利回りが「高すぎない」(3.5%〜4.5%程度が目安)
  2. 配当性向が「50%以下」で余裕がある
  3. 過去10年以上「減配していない(または増配している)」
  4. 営業キャッシュフローが黒字で安定している

「今」の利回りの高さではなく、「配当を出し続けられる能力(体力)」を見る。

これが鉄則です。


まとめ:配当金は「ご褒美」ではなく「成果」である

高配当株投資は、素晴らしい投資法です。

しかし、それは「不労所得」という甘い言葉に踊らされることではありません。

「企業の財務を分析し、健全なビジネスオーナーとして利益の分配を受ける」という、極めて能動的で知的な行為です。

目先の利回りに目を奪われず、企業の「中身」を厳しく監査してください。

その先にこそ、真に安定した「金の卵」を産むニワトリが待っています。


【総務部・推奨参考文献/データソース】

  • MSCI分析レポート「高配当株のクオリティ特性」
  • 会社四季報(配当性向・キャッシュフローデータ)
  • 日本証券業協会「投資の時間」

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